自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

自閉症とSNSの問題

我が家の自閉症の渡はSNSを使います。 FACEBOOKが主ですが、ヘビーユーザーじゃないけど、使います。きっぱり。ただし、お友達限定ですが…。

高校の時にSNS問題は勃発していて、多くの渡の教育に携わる人が、「使わせるべきではない」という主張をしておりました。娘と私はまったく意見が異なり、

正しい使い方を教えるべき。

ということを主張しておりました。IEPのゴールにしていたほど。

理由は、

必ずこの問題は成長するにしたがって、突き当たるから。

です。

たとえば、普通のクラスの授業を取っていてもアメリカではグループで勉強することがあり、それが成績に直結することもあります。その時にFACAEBOOK上で、意見を言ったり、勉強の情報をシェアしたり、まとめたりします。勉強するのに欠かせないツールでもありました。「使わせるべきではない」という主張する人たちには、

じゃ、あなたたちは、渡には、グループでする勉強は参加させるべきではないということ?

という主張をしておりました。けど、なかなか理解してくれない人たちもいたのも事実です。たしかに使わせるのには、周りは本当に手間暇かけて教えねばなりません。

これって、渡が小さい時に水遊びが好きで、どんどんと水を撒いてしまうので、

水を撒かないように水道の近くに渡が行けないようにしましょう。

というやり方と同じです。そんなの渡が人間として生きていく時に水に近寄らないなんて無理です。学校内だけでは可能かもしれませんが、人間として生きるためには、水は必要だし、水なんてどこにでもあるからです。

私は都合の悪い物を取りあげるだけのやり方が嫌いです。一時的に危険な物は取りあげることはしても、それよりも正しい使い方を手間暇かけても教える方が有効だと思います。

もう5年以上前のはなしですが、私は、プライベートでFacebookなどの正しい使い方を教えてくれる人を探したりしておりました。探している最中でも、自閉症ソーシャルスキル(社会性)を育てることを生業にしている会社の人に、

Facebookの正しい使い方を教えて欲しい

というと、

変わったことをいう親御さんね。そんなリクエストは来たことない。

といいつつも教えてくれました。親が教えればいいという人もいますが、それは違うなと思っておりました。思春期の男の子で母親にFacebookの内容を見られたい人がどれくらいいるか?と思っていたからです。なので野放しにするのではなく、正しい使い方を知るということ。息子たちのグループで何がFACEBOOK上で起こっているのか?把握できる人がいるということです。

けど、大学に入り、職業訓練を担当してくれる先生が私の懸念を理解してくれました。

そう。彼らは社会性に遅れがあるのだから、卒業したら、孤立し、ひとりぼっちになってしまう可能性が高いのです。自閉症じゃなくても、そんな人は結構見かけます。SNSは彼らを社会やお友達につなげる大きなツールのひとつなのです。

同じ意見をもってくれていた先生は、卒業してからもしっかりと皆が連絡を取れるようにとクラスメイト全員にFacebookの正しい使い方を教えてくれました。教えてもらっている間は、問題もありました。本当に大変だったと思います。けど、Facebookをグループで使うようになってから、渡は映画をみにいったり、ホッケーを見にいったり、イベントにいったり、一緒に勉強したり...と。充実した放課後を送っておりました。

ところが、その先生が辞めて、新しい先生がくるとFacebookの使い方を教えなくなりました。たしかにFacebookを使えるようにすると、教える側は、大変だし、面倒なのです。

元来、Facebookなどをあまり使いこなすタイプではなかった渡は、ホッケーを見に行ったり、映画を見に行ったりの活動が極端に少なくなりました。

どんどん孤立していっております。けど、繋がっているので、卒業後にまたしっかりと復活させればいいと思っていた私。

そんなところに問題勃発。

渡のお友達も同じように孤立していた生徒はいたわけです。卒業がまじかになりお友達と縁が切れると不安になったために、お友達の全員の携帯を貸してもらって、自分の携帯にすべての番号をうつして、全員にまとめてメッセージを送り始めた。

家庭事情が複雑な子供もおります。たとえば、父親と母親がDVなどで離婚訴訟中で、片親に同士が接近禁止令がでている子供などは、父親母親通しの連絡先が、弁護士を通してでしかつたえられな人もいたりします。他の人に携帯の連絡番号を知られたくない人もいます。子供の携帯に、何かあった時のために、会社の緊急連絡先を登録している親御さんもいます。いろんな人がいるのに、一斉にグループメッセージを送ってしまった。それでみんなの番号が一気にわかってしまった。いやー問題だろう…..。

だから学生は学生同士で連絡を取れる場所が必要なんだってば。前から話していたじゃない....。と思う私。

卒業なんて普通の子供だって泣くくらい悲しい事です。不安にもなります。ましてや、もともと友達が広がりにくい自閉症の子が縁が切れてしまう可能性が高いと感じる卒業の問題。こんなこと、わかっていたことだと私はおもうし、そのことに対してなんのフォローもしていないのも問題。

賛否両論はあるけど、私はやっぱり、普通に大学生や一般の人が使うFCAEBOOK等のSNSは、最低限、一番その子供の世代が使うものの正しい使い方というのは障害があるからこそ、しっかりと教えていかねばと思います。けど、やっぱりわからない人はわからない感じで、本日先生からの連絡は

この送った子の携帯から番号は消します。

という話だけでした。いやー違うでしょう。もっとしないといけないことはたくさんあります。この渡のお友達の不安を取り除いて安心して卒業させてあげるのことが、周りの大人のすることじゃないのかな。