自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

大学で私物を置けるロッカーを与えられた自閉症の息子

息子が大学で個人ロッカーを与えられました。先生から、「ロッカーの鍵を用意してください。」とのこと。今までは、ロッカールーム内では喧嘩などのトラブルも多いので、ということで、ロッカーを使わずにおりました。特別な場所で着替えていたわけです。

慌てて買いに行きました。最初は、ダイヤル式の鍵を息子に渡しました。これです。

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これがアメリカの学校では、わりと標準で、先生も渡に教えるのにいいかな?と思ったこと、鍵式は鍵を渡が無くすかな?と思った事などが理由です。ところが、先生から、

やはりこのダイヤル式は渡が理解しないので、南京錠タイプのものにしてください。

というお達しがきました。あわてて、南京錠タイプの鍵を買いに走る私。会社の前にDIYのお店があって良かった。こんな感じの鍵を新たに購入。

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手渡すと大喜びの渡です。

今までは職業訓練のクラスに私物を置いておりましたが、他の多くの学生と同じようにロッカーが貰えた事が嬉しいんだなと思い、親ばか丸出しで、目を細めて、大喜びする息子を眺めておりました。

南京錠タイプの鍵を大学に持参するリックサックにいれた渡。朝から興奮しておりました。これは、興奮だけが残って、肝心の鍵のことを忘れるかもしれないと思った私は、

新しい鍵を先生に見せるんだよ。

としっかり釘をさしておきました。母親業も年季がはいるとポイントを押さえる事ができます。

Yes!!

という元気のいい返事とともに、一人であるいてバスに乗り、登校した息子。

私の頭の中でもアメリカ映画でみるように、大学のスポーツ選手たちがロッカールームで歓談してる図が浮かびます。息子は歓談できないまでも、その映画のような風景の同じスペースに、自分のロッカーを頂いたわけですから、彼にしては、1歩進みました。アメフトの装備をはずして歓談するような子達と一緒のロッカールーム。はたまた、バスケットのユニフォームを来た子達と同じロッカーの息子。想像して図を思い浮かべるとかっこいい。アメリカ映画みたいじゃん!,,,,と、どこまでも親ばかな私。

夕方になり、元気にご帰還の渡。すぐに

ロッカーの鍵、先生に渡した?ロッカーは頂けたの?

の質問に、おおきな声で

Yes!!

よかったじゃん!やった!!ほっとした。そうすると、息子がすごく自慢げに自分の持って帰って来たリックサックに手を突っ込んだ。

あっ!先生からお褒めの言葉が書かれたメモを頂けたんだと思う私。マメな先生は、よくそういうお褒めの言葉を書いたメモを下さいます。

すると渡の手に握られたものは、なんと

南京錠。

えっ!!鍵を取って、持って帰って来ちゃったの?意味ないじゃん。渡にとっては、ロッカーよりも「鍵」そのものが嬉しかった模様。

 小さい時はいたずらばかりするので、触っちゃいけないものには鍵をかけられた事もある。そのことを覚えているのか、今度は自分がコントロールできる「鍵」をもらえたわけですから、そちらのほうが嬉しかった模様。

渡、ロッカーというものはね。大事なものは「中にいれた私物」であって、「鍵」ではないんだよ…。

はぁぁ。明日から、そのことを教えねば…。まだまだ母親業ができない私。何年たっても無理かも(笑)