自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

理系の開発リーダーが欲しいもの

開発リーダーが突然、

ゆみさん、僕、どうしても欲しいものがあるんです!!!

と言ってきました。

もともと物欲がなく、物が必要だと思う時は、購入するのでなく、知恵で対処して行き、なるべく持ちものを減らし、究極は自分の住む家を桂離宮のようにすっきりさせたい開発リーダー。唯一、欲しいと言った物はガンダムのプラモデルくらい(桂離宮ガンダムを並べる気か??)

実はこの欲しいもの。自分で作りたいんですが、作ったら、すごいと思うんです。

すごいものができるのかー。じゃ、人様の助けになるかもしれないなと思い、急に耳を傾ける私。

実は、温度計なんですが..。

温度計なんて一杯あるじゃん。と思うけど、ここはひとまず話しを聞く私。

図はこうです。

とすらすらと図を書き始めた。

書いた絵がこれ。

f:id:kuboyumi:20140113194357j:image

なんじゃこりゃ??と思うのだけど、余にすごすぎて、突っ込めない。

説明するとまず、この左側がiPhoneです。

ワイヤーの先に熱電対がついていて、トンカツをあげる油にその熱電対を垂らして入れるわけですね。

イリアムソノマなど色々な会社が既に、アプリと料理の温度計を開発販売していますが、なかなかこれ、といったのがないです。温度計自体の測定許容範囲が、室温程度までとかが多いし。やっぱケーキにも使える様に、300度まではカバーしたいですね。J, K型熱電対だと、線形性が高くてよいかと。僕が思うのは、まず、このiPhoneに熱電対と簡単な回路モジュールをつなぎます。その温度を1,2秒毎とかに計って、iPhone内のメモリに保存したいんです。とりあえずBluetoothはいらないので、有線でiPhoneと熱電対をつなげた程度でいいかも。

f:id:kuboyumi:20140113194420j:image

単純に、マルチメーターとパソコンをGPIBなんかでつないでLabViewPythonでちょっとプログラムを書くとデータ取得できるんですが、家庭で気軽にデータ取得するだけにしては設備が無駄に大きくて高くなりすぎです。


そして、そのデータをグラフ化するとたぶん、こんな感じになるんだとは思うんですが…..。

f:id:kuboyumi:20140113194426j:image

こんな感じになるって、すでにわかってるんだったら、もうやる必要ないじゃん。この白板で納得すればいいじゃん。と思うのですが、開発リーダーは、説明を止めない。興奮しているリーダー。

とんかつの油の温度が一秒づつ計れるってすごくないですか??これがわかれば、再現性が高く、一番おいしいとんかつを揚げるポイントが図で解る訳ですよね。このデータ、欲しいなぁ..いやぁ、これは欲しいなぁ…。

リーダー、気を確かに!!本当にこのデータが欲しいか?持っていて、何に使うんだ??

心の底から欲しいか?自分に聞いてみるんだ!!! と思ったけど、本人は、本当に欲しいのだから、欲しいのだろう。

けど、早く正気に戻ってもらわないといけないので、質問してみた。

リーダーさぁ。これが、すごく面白いのは、わかった。で、この製品の欠点はなに??

リーダー、少し頬を赤らめて、俯き加減にこう言った。

この製品の欠点は、「僕以外は、誰も欲しがらないこと。」

ハイ、大正解です。

やっと気がついたリーダー。私に背中を見せながら、蚊の泣くような声で、ぼそぼそと、

「けど、いいんだけどなー。解れば、おもしろいんだけど..。」

と言いながら開発ルーム消えて行った…。

理系、恐るべし。