自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

敗者復活する渡

先週の大学数学の小テストで10点満点中、5点(50点)という点数をとってしまった渡。その日は随分落ち込み、体調も悪くなってました。スピーチセラピーに行っても、その場で寝てしまうというトラブルもあった渡。疲れた上に、相当ショックを受けていました。

セラピストの方には、

人間なんだから悪い時もいい時もある。また頑張ればいい。

と言われました。

開発リーダーにも

いいんだよ。渡君。テストはまたある。その時に備えて勉強すればいいんだ。なので、これは終わった事だから、もういいんだよ。また勉強しよう。

かすかに、しゅんとしてる。なので私が横から、むちゃくちゃ陽気に明るく、

渡さーーー!!開発リーダーだって、50点とか取った事あるよ。長い人生、そういうこともあるよ。ねっ!リーダー!!

と開発リーダーに問いかけたら、小首をかしげて困った顔になり、すごく小さな声で、ぼそっと、

えっ?あの....えっ....50点ですか?? 

ないかな。

と言われた。いや、ありえん。ここは嘘でもあるよって言おうよ。けど、開発リーダーに

「いいんだよ。」

と言われたら、それは絶対にいいんだ、と理解した渡。

一気にやる気になって、ニコニコと数学を始めた。

私は、「まー来期も同じ数学の先生だといいなぁーー。同じ事の繰り返しだし、楽かなぁ。」くらいに軽く考え、数学のテストの事はもう忘れてしまった、のんきな母。数学はここから簡単になる事はなく、難しくなる訳で...。渡は、まだ総合的な得点はAだけど、上にあがるのは、自閉症の彼には難しいだろうと。普通の子どもでも50点から点数あげるって結構ハードだし。


こんな渡は週末も新しく習った単元を

カリカカリカリ...」

とネズミが見たら驚くし、リスがみたらドン引きするくらい勉強しておりました。困った事は、渡はシャーペンを使わず鉛筆派です。こうなると、何度も鉛筆を削るので、削る音がうるさい。鉛筆自体は、近くのお店でセールの時に数百本を限りなく安く購入してあるので、いいんですが、手動鉛筆削りのほうが、弱音を吐きそうでした。これは日本製の三菱のもので、ちょっとお値段がはるし簡単に手に入らないので、壊れたら嫌だな~~~、程度でしか見てなかった私。

日曜日の夜には、プリント1枚を数分かからず終わるほどになっていました。へー、人間やればできるんだなぁ...。とおもいつつ、私はなにも考えずに週末が終了。

月曜日には小テストがまたあったのですが、彼は、

できた。できた。

と言っていましたが、渡の出来た、ほど当てにならないものはないので

「ふーーん、そう。」とお茶を濁す私。また凹むといけないし、落ち込むと厄介だし。

火曜日の今日は家の扉をあけると、中から大声が聞こえてくる。

"I can't believe it!" (信じられない!)

というマーガリン屋さんの宣伝のような言葉を何度も繰り返しておりました。

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こんな感じのマーガリンが大量に家の中に居る感じ。うるさい...。

そんな渡が、バックパックの置いてある所から、私のところへ走って来て見せたものはこれ。

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えっ?マジで?満点取っちゃったの?驚く私。渡はでかい声で、

"Wow!! I can't believe it! 100%!! Awesome!"(←こうやって、驚いた様に言えという指示を私に出す渡。)

まーそうだわ。と思い私がその通りに言うと、自分で、

”Great job!"(よくやった!)

と答えて、ニコニコと納得しておりました。

敗者復活している渡でした。すごいなぁ、と素直に思った母でした。

来期、もう取らないのかなぁ?数学...。