自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

人生が変わる瞬間を見た私

先日の事です。

香穂はエジンバラ国際フェスのフリンジで1500程の劇が出たのですが、彼女の大学は8位。劇のことはニューヨークタイムズに取り上げられた様です。ノーマークの大学だったし、いままで香穂の大学が参加したことは何度もあったけど、ここまでの順位をとったことはなく。記録樹立。世界8位になったようなものです。けど、香穂は

「私はもう舞台はしたくない」

と帰国してから、言っておりました。私はこれもすごくよかったと思い。彼女のこの体験は、将来役に立つということは明確です。これを素にして好きな進路を進めば言い訳で。じゃ、何するの?ということなのです。彼女は、エジンバラで、自分のしたいことの漠然としたものがわかったけれど、具体的にどうするばいいか?がまだ解らずもやもやしていた模様。

そんなとき、アニメーションの世界で超有名な方にお会いする機会がありました。予約をお願いしたら、無事に取れたので、娘だけ会いに行くと思っていたのですが、お姉ちゃん命の渡は、付いて行くと言います。たしかに今年の夏は留学していた事もあって、一緒にすごした時間が少なく、今回も5日間しか一緒にいれないものねぇ。なので車に乗って一緒に現地まで行き、近くのカフェでまっていようねと話していました。ところがお会いしてくださる方が渡が自閉症だと知り、ご好意で同席することができました。こういうところ、やはり極めた人というのは、なんだか違う。なんだかんだで私も渡も同席しましたが、渡がいつになくノイズをたてず。すごくいい子でちょこんと座っておりました。

肝心の話の内容ですが、すごいものでした。概要をいうと、才能がないかもしれないと悩む娘に、アートの世界というのは、才能よりも続ける力。さらにただ続けているだけだと目標がなく辛いだけなので、自分がアートの世界のここのこれをしたい、とはっきりしたものが見つかったら、その世界でトップの人はどのように道を歩んだのか?なにをしたのか?しているのか?を明確に知るということなどを助言されました。

いままで彼女には、

「絵では食べれない。」とか、

「舞台では就職大変ねー。」

とか違うなぁ。と思うアドバイスなどは多くいただきましたが、ここまで具体的に頂いたのは初めてです。座っている娘が感電してるかのように、しびれているのが傍目にもよくわかりました。

人生の方向を変えるというか、突き進む道の前が見えたのでしょう。すごいことです。はたでみててもこの会話の中のオーラというか、雰囲気というのも、独特のとても神々しい雰囲気で包まれています。

へっー!人生がかわる瞬間ってこんなのなんだ!!と目でみて肌で感じました。

お話が終わったときには、すごくここちいいけど、どっぷりと疲れた感じがしました。

家に戻ると、すぐに来期に取る授業の変更をした娘。はやっー。

ところが、彼女の大学は、担当教授がきちんといるので、すぐに連絡が。教授も急に授業を変えた彼女に

「なにか起こったな?」

と思ったようです。これは、学校がスタートしたら、教授にきちんと説明することで了承を得たようです。

しっかりと進む方向を変えることを決意したこの日。もどってきて授業変更をして、1時間したら、別のルートで学校から連絡が入り、彼女たちがエジンバラで行った劇が「フリンジファースト」と言う賞を頂いたという連絡でした。とても名誉なことです。もしこの有名な方にお会いせずにこの賞のことを先に聞いていたら、たぶん、周りに流されるまま彼女は舞台をしていたかもしれません。なんかちがうんだよなぁー、感を抱きながら。やっぱり一生懸命やっていると皆さんが協力してくれて、タイミングよくいろいろなことが周りはじめるものなのですねー。感動。

さてさて、娘の件が終わったら今度は、息子の件。大学が始まる前に障がい者を担当する方(高校で言う担任のような方)から突然連絡がはいったので、夕飯をご一緒しながら、お話することになりました。

こちらのほうもすごい出会いでした。

前々から渡は、こういう仕事に就きたいという彼の希望を話していたのですが、多くの人から、

「やりたかったら、やってもいいけど、渡には無理よ。」

と、ほとんど私は異人種を見る目で見られておりました。娘が芸術の世界に入るときも

「食べれないよ」などというのは言われていたので、

「またかー。」

程度だった私。けど、今日お会いした渡の担当の方にも、いままでと同じように、渡の公文やいろいろな彼の勉強、夏休みのインターンの内容や成果、渡の性格や問題点をお話したらこの担当の先生は

「すばらしいですね。渡の夢は充分叶うに値するものだし、これらのサポートを僕は全力でします。あなたが言うように、今期の大学のスケジュールの中で無駄だと思われる部分はありますね。では、すぐにスケジュールの変更をしましょう!」

となりました。うっー!!香穂と同じだ。

IEPで戦うこと半年。スケジュール変更までは至らなかった。けど、たった一日で、このスケジュール変更が承認された。すごー。

この日一日で子供達の人生がかわった。

いつもは別々にこういうことが起こる事があったけど、たった一日で起こった事はいままでの人生ではありませんでした。

なんだか、一日に2回も人生の衝撃にであったので、興奮して眠れない日でしたけど、嬉しくてしかたがない日でした。

みんなよかったね!