自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

香穂の悲しいできごと

香穂が大学に戻りました。香穂は寮で2人で一部屋を使っています。その同じルームメイトの女の子が、学校を休学するとのこと。他州から来ていたルームメートの子は、引っ込み思案の香穂と周波数が合い、わりとうまくやっておりました。香穂の大学は、ルームメイトを選ぶ時にその子の専攻や、性格、好きなこと等全てを考慮し選んでくれるので、あまりにも性格が合わないというケースは、あまりないようですし、合わない場合はすぐに部屋を代えてくれたりするそうです。香穂は大学に行くにあたって、

「会ったことのない人と寮生活というのもチャレンジングでいいかも・・」

と言っていたのですが・・。

ルームメイトの子は、家族のメンバーの中になにか健康問題を抱える人がいるようで、シリアスな状態になってしまったらしく家族で時間を過ごすために、実家に戻るそうです。


おとといの夜に同じ寮棟内の女の子30人全員でカフェに集まりお別れ会があって、全員で泣いたそうです。きのう帰省だったのですが、香穂は舞台の授業が遅くまであり、お見送りができず、舞台が終って疲れ果てて部屋にもどると、彼女が使っていた学校から貸与されている机、棚、ベッド、クローゼット等がすべてが空っぽになっていて、ぽつ~~ん・・・。と残っていたそうです。

疲れて真っ暗な夜に、キャパス内をとぼとぼ歩いて帰って扉をあけたら、部屋の中は、そんな状態。電気をつけたら、泣きそうになったそうです。


扉をしめて、家具しかなくなってしまった彼女の住居部分をみると本当に寂しく、自分のベットに寝ころがって、ふと扉をみるとなんと、彼女が大事にしていた皮のお出かけ用のバックが扉につってあったそうです。

香穂に使ってもらおうと思い、残していったようです。


それを見て、いても経ってもいられなくなった香穂は、私にチャットで話しかけて事情を説明し、ビデオカムで香穂の部屋の状態をみせてくれました。


本当に家具しかなくなった部屋はすごく寂しいスペースになってしまっています。狭いと思っていた香穂の部屋がなんだか観客も選手もいなくなった深夜の野球場のように広く感じてしまいます。

扉につってある彼女のものだった皮の鞄も、彼女かわりに

「もっと大学で長く勉強したかった。みんなと一緒に居たかった。」

と言っているようで、私のほうが涙ぐんでしまいました。

たった4ヶ月のルームメイト体験になってしまいましたが、彼女から得たものは大きかったと思います。

実家に帰ってしまったルームメイトには、

「勉強はいつでもできるよ。大事な家族と大事な時間をしっかりと過ごしてほしい。」

と願わずにはいられない私です。