自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

アメリカの大学受験

今週末の受験の最後の一校の面接です。この学校は、海の近くにあり、高級住宅街にあるので、学校に到着するまでにすでに気持ちがいい。

キャンパスからみた感じは、雨天で暗い今日でもこんな感じです。

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書類は全て出してあるのですが、香穂は一応、手に自分の作品を持っています。

1時に約束だったのですが、私は、13分前に急にお手洗いに行きたくなり、香穂は集中して自分の作品を見ていたので、香穂に言わずにすぐに帰ってこようと思い、お手洗いにいくと、その間に面接教授がやって来たらしく、もどったら椅子の上にあった”香穂”と”書類”がなくなっていました。

あとで香穂に聞くと先生に

「あれ?親御さんは?」と聞かれたので

「あの・・・・。母が一緒に来てるのですが、母は、落ち着きがない人なので、ふらふらとしてしまいました。」

と言って、教授に爆笑されたそうです。

ちがうってば。お手洗いにいったんだよ。緊張したんだよっ!



面接を受けてみると、香穂の受ける学科は、一学年に3名程度しか取らず、狭き門。

えっ!ここもかー。と思う感じですが、ここの先生もきのう受けた先生と同じで、

「学生が勉強もせずに、ふらふらと遊ぶのが嫌い」

だそうで、

「たくさんの学生は見ません。少数精鋭でやっていきます。」

という感じです。(あとで、渡の学校が定員8名ですので、なんか、渡みたい!

って笑っていました。香穂もやっと渡の気持ちがわかるなー。と言ってました。)

少数だと教授の目が行き届くので、安心です。


この日の土曜日は、舞台のリハーサル日で、香穂が受験する学科の生徒が全員学校に来ていたそうです。

先生からすぐに

「あなたの書類は全て目を通しました。すばらしかったです。それでね、今日は、次の劇のリハーサルのために劇学科の生徒とあなたが受験した学科の生徒が全員来ています。見学しますか?」

と聞かれて、香穂は

「したいですっ!!」

答え、面接もそこそこに、すぐに学科の学生全員(7名だそうです。ここも狭き門だ・・。)に紹介されて、みんなから

「早く来いよ。君が来てくれないと、僕たちは忙しいから困ってるんだ。」

とか、

「ようこそ」状態で、学生みんなから

「がんばれ。絶対受かれよ!ここはすっげぇ、いい大学だぜ!最高だから!!一緒にここで舞台をつくろうぜ!!」

と、言われたそうです。教授と生徒もすごく仲良しで、教授宅に招かれてご飯を食べたり、先生の家で舞台の装置を作ったり、議論したり、デザインしたりするそうです。なんか、ドラマみたい・・。

劇学科の学生にも会ったそうですが、みんなすごく地味で正直で優しそうな学生ばかりだったそうです。

派手さがない・・。

私も待っている間にカフェにいったりして学生をみていましたが、みんなおおらかな感じですごくのんびりしていて、仲がいいです。




面接に戻った香穂が聞かれたことは、

「あなたがここで楽しく学生生活を送るために、あなたから聞きたいことに答えます。質問してくれる?」といわれたそうです。香穂は、

「たとえば、フォログラムのような全て光で舞台設定をするようなことをしたいとか、そういうアイデアが思いついた場合は、実行するチャンスがあるのか?」

で、この質問はすごく盛り上がり、いろんな舞台の話になったそうです。

「もちろん!あなたは、他になにかアイデアはないか?」といわれたそうです。

で香穂は、

「じゃ、動物を出させるとか・・」

「いいアイデアね。けど、誰が飼うか?が問題よねー。」

「じゃ、これはシャボン玉をつかってやるのだけど、シャボン玉とプラスティックをつかって、大きな輪を作りその中に設定をする、シャボン玉は割れないように、○○という細工をして(←私がまったく理解できなかった)客席から見たら、シャボン玉の中に、舞台の一部が入っているように見える」

「すごいわ!それはやってみたいわねー。あなたのアイデアはおもしろいわね」

とすごく感動されたそうです。他にもガンガンアイデアがでて、そんなのを高校で聞いてくれる人はいない訳で、香穂は楽しかったようです。面接を楽しむ香穂って、いったい・・・・・。




1時間10分後に、香穂が面接を終え、出てくるときも面白かったです。私は廊下で待っていたのです。

香穂は、私を見つけると、耳とほっぺたを真っ赤にして、興奮しながら面接の部屋からでてきて、まだ後ろに教授がいるのにもかかわらず、日本語で、

「ゆみちゃん!この大学、すごく良かったー!!」

と私に叫んでおりました。


教授が私と話したがっていましたので、話をしました。

私は、なにも準備をしていなかったので、すごく英語につまったけれど、先生いわく、私に、

「劇学科は、花形で、希望者が多く、受験者も合格者も多いのですが、香穂が受けた学科は、緻密で地味で、さらにとても厳しいです。だけど、彼女はすばらしいアイデアを持っているので是非来ていただきたい。みんなとも仲良くできる子供さんです。」

と言われました。

私は

「すばらしい大学で、私もここは大好きです。こんなところで子供が学べれば幸せですね。」

とたどたどしく、言いました。

教授は、

「そうなのよ。ここは環境はすばらしくいいし、私も大好きなの。よく勉強もできると思うわ。

すばらしいお子さんで、本当に今日は、私は楽しかった。気をつけて帰ってくださいね。又会いましょうね。」

といわれました。



のんびりしたこの大学は、一般教養の授業もすばらしいと全米でも評価が高い大学です。

多動で存在自体が、がちゃがちゃした私が、もしこの大学に入ったとしたら、合わない気もしますが、私がイライラするくらいのんびりで、正直に裏表なく生きている香穂には、合いそうな大学です。アメリカの大学は、偏差地だけでは絶対に語ることができません。各大学があまりにも個性的ですので、各自にあった大学をみつけるのが、その子の幸せにつながる気がします。というのも、きのう受けた大学の一つは、香穂も私ももう十分。香穂には、合ない。という感じなのです。世界最高峰と言われる大学の学科でしたが、かけらも魅力を感じなかった私たち。たぶん、相手の学校も香穂には、かけらも魅力は感じていないと思います。

アメリカの大学選びは、日本と違い、本当に現地に足を運び、調べて、深く掘り下げて一緒に歩んでくれる進路カウンセラーと密に話し合うことが、何よりも大事な気がします。


合否を決める通知は、この面接の状態や書類が諮問委員会の様なところに回り、審査されて、4月か5月にくるそうで、ちょっとぴりぴりする数ヶ月になりそうです。

帰りの道も1マイル山側に行くともうこんな感じです。

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こういう田舎は、好きな私です。