自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

香穂の歴史~渡はアブラハム.リンカーンが好き~

香穂は、歴史が苦手で、サンノゼ大学の質問教室に通っておりましたが、これが、今回で終わり。

効果は?でしたが、歴史のアレルギーは、相当なくなりました。

無料で、これだけ勉強できるものを提供してくれる公立の大学はすごいと思う。

日本じゃあり得ない。

感動していると、ここに通った初日の出来事を思い出しました。

その日は、渡に、

「大学で、チューター(質問会)の時間があるので、そこについて来る?」

と聞いたら、すかさず渡が、

"Beautifle Women?"

と聞いてきたので、

「そうだと思うよ。だって、大学院生が教えてる訳だし。それに歴史だよ。

文系だから、かわいいお姉ちゃんじゃないかな?」

と話しました。香穂は、前もって、先生に直接メールを送っているので、

「あっ、先生、女性だった!電話でも話したけど、すごくかわいい声だったし。」

渡、嬉々とし

I want to go the University!"

と叫んで、一緒に行くことになりました。大学に到着し、

みんなで緊張面持ちで、大学の質問会の部屋の扉をノックすると

"Come on in!"

という綺麗な若くて、高い女性の声が。

渡、その場でジャンプしそうな勢いです。

香穂が扉をあけると、渡は完全に固まりました....。

だって、だって、だって、そこには...

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60歳くらいの白髪のおばーちゃんが座っていた。

「あぁ、ようこそ」

と言われたのですが、なんと彼女、声が異常に高くて、声だけが若い。

体と声が釣り合っていません。

渡が、固まりました。。

「話が違う。あんた、ばーちゃんじゃん!!!!」

と思ったみたいですが、そういうこと言うとすごく怒らこられるのは、過去に体験積みの渡。

握手までしようと、しっかり用意していた右手をさっと引っ込め、もう先生の方は絶対に見ない。

香穂と先生が話をしていると、ばーちゃん先生は、50歳後半になってから、PhDを取ろうと、決めたようで、

引退してから、大学院通いを始めたそうです。で、空いてる時間に学生に歴史を教えているそうで、

現在60歳。渡は耳をたてて聞いていたようですが、もう聞こえるものも聞こえなくなったようです。

綺麗で若い人に会えると思っていた渡は、あわよくば、HUG(抱きしめる)

くらいはできるかと期待していたので、もう

その思いをどこにぶつけていいか、わからない。ほとんどパニックです。

ショックの渡は、わけがわからず、ついに部屋の隅にあった

アブラハム.リンカーンに抱きつきました。

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紙でできたリンカーンは、渡に抱きつかれても、若い女のこみたいに、

怒ることも照れることもなく、常にポーカーフェイスで、表情ひとつ崩しません。

爆笑してしまった初日の歴史の勉強の日でした。

渡、甘いよ。若い綺麗な女の子って、そんな簡単に会えないんだよっ!

社会の荒波をすこし体験した渡でした。